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節約生活や読書の記録を綴ります

本多信一『内向型人間の生き方にはコツがある』 大和出版

本多信一『内向型人間の生き方にはコツがある』 大和出版 1988年

 私がまだ10代の学生の頃に感銘を受けた本について紹介します。私は20年程前に購入しましたが、初版は1988年と30年以上前に出版された本です。

[概要]

 著者の本多信一さんは、1941年生まれ。1971年に現代職業研究所を設立し、相談業務に携わっていました。この本が出版された当時は47歳ですが、2022年3月現在は80歳ですね。

 自分の生涯は、人生問題に悩み苦しむ人々のため、内向型で学校・社会に合わずに絶望しつつ生きる仲間のために、ほんの少しでも役立つようにしようー17歳のある日、私はそう決心した。(P.3)

 本多さんは神経質で内気、過敏な神経を持ち、先行きへの不安感を抱いている人のことを「内向型」と呼び、この本は、内向型人間による、内向型人間のための生きるヒントを記した一冊であると述べています。

 そして、本書には対人恐怖や不安等で現実生活に不安を抱え、生きづらさを抱えている孤独な人々に対して、宝石のような言葉がたくさん散りばめられています。

 

[感想]

 最初にこの本を読んだのは学生時代でした。そのため、現実の社会人として直面する苦悩には正直まだピンと来ていなかったかもしれません。

 学生時代から私は孤立していました。

 友だちと呼べる子もほとんどおらず、いつも椅子にポツンと座っていて、移動教室でもお弁当を一人で食べていました。でも、勉強や空想が好きな子供だったので、今ほど辛さを自覚していなかったと思います。

 大学生の頃は勉学に夢中になったので、本書に本多さんが大学の勉強を30日集中して猛勉強したという記述があるのですが、何度も読み返した記憶があります。

 (余談ですが、同様にヘッセの『車輪の下』の勉強の箇所も当時読み返していました。)

 それでも、ふと「生きづらい」感覚には襲われ、独りで泣いていました。そしてその度、本書の本多さんの優しい言葉に助けられていた記憶があります。

 友だちになれそうな子が現れても、距離感が分からず、結局離れてしまったり、集団生活で、場の空気を読めない発言をしたり…(発達障害ASDの特徴だと後にわかり、自分も社会人になり自覚してからは気を付けるようになりました)

 唯一の親からも、「友人もいないし、興味あることも狭すぎておかしい」と責められ…辛かったです。そんな私にとって、本多さんの読書に対する以下の言葉は本当に支えになりました。

 高校、大学の頃は、私も親友を同世代の中に求めようとし、果たされなかった。そこで古人の中に心友となれそうな人を探し出し、その人たちとの付き合いの中で、私は何とか生き抜いてきたように思う。(P.168)

 生きづらい10代、20代だったと今振り返ると思いますが、そのおかげで読書の楽しみを得ることができました。

 今は前だけを向きたいので、あまり振り返りたくはないのですが、この本を読み返し、過去のいろんな事を思い出します。

 

 改めて読みなおすと、本多さんが職業相談をされていたので、社会人の方々へのヒントが数多くあることに気づかされます。私自身、今休職中で障害者雇用での復帰を目指しているので、すごく励みになりました。

 本書の生きるヒントを支えに、進んでいきたいなと思います。